これまでの害虫防除では、圃場にいる害虫を物理的に殺す技術がありませんでした。しかし、畑や田んぼに飛んで入ってくる害虫を撃ち落とせれば、被害が減るはずです。不規則に飛ぶ害虫を画像解析して照準を合わせ、レーザー照射で撃墜する技術を開発しています。また、圃場内に発生する微小害虫は、青色光の殺虫効果に着目して、照射装置によって殺す技術を開発しています。いずれも、これまで害虫防除で用いられていなかった、新たな物理的防除技術です。
害虫を食べる虫“天敵”。化学農薬に代わる殺虫技術として期待されています。でも、エサとなる害虫が少ないとどこかに行ってしまったり、害虫より暑さ寒さに弱かったり、どんな農家さんにも使いこなせる技術ではありませんでした。そこで、最新のゲノム研究成果を応用して、強化した天敵系統を育種したり、その知見を生かして畑や田んぼの周りにいる土着天敵を呼び寄せたりする技術を開発します。
昆虫の体内には様々な微生物が共生しています。そのなかには、直接的な病原性を示さず、親から子に伝わりながら、宿主の生殖を巧妙にコントロールする共生微生物がいます。微生物が持つそのような特殊能力をうまく利用することにより、害虫を広域でコントロールすることを目指します。